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予知夢

予知夢

 

瓦礫の山の上で、

おれは誰かおれの知り合ひの名を叫んでゐる。

街は壊滅的に破壊し尽くされ、

それでも生き延びた幸運な人人は、皆大地震の脅威に身震ひしてゐる。

 

これはどうやら近近、地球の何処かで、もっと言へば近隣で、大地震が起きる前兆のやうだ。

何時も大地震が起きるときはこんな風な同じやうな夢を見る。

その夢が夢としては余りにも出来過ぎな為に夢中のおれは、

それが夢なのか現実なのか夢見中は判然としないのだ。

つまり、その悪夢に逼迫したおれは、

命からがら生き延びてゐるのだが、

生き延びてゐる事もまた、夢でしかないのかも知れぬ。

 

しかし、また、死屍累累と死体の山が築かれるのは火を見るよりも明らかで、

さうして瓦礫の山を呆然と見詰める人人は、

自然に対する無力感に我が身を疑ふ。

 

生死を分けるのは最早運でしかなく、

人間の無力感を噛み締めるその時、

果たせる哉、人間の出来得ることは僅少に限られてゐて、

それこそ正しく他力本願に身を委ねるしかないのだ。

 

動乱の世、宗教が再び脚光を浴びるに違ひなく、

暴力的な自然の振舞ひに対して、

論理で固められた《世界》なんぞは

自然の前では一瞬で瓦解するのだ。

 

しかし、それで良いではないか。

所詮、《世界》なんぞは現存在の夢想の王国に過ぎぬのだから。

自然の猛威の前に《世界》が一溜まりもないのは、

未だ、現存在の論理が未熟故の事、

況や人工知能に何が出来ると言ふのか。

何故ならば、人工知能は多分、夢を見ない。

それ故に人工知能は自然の驚異の前に無力であって、

しかし、地震が起きた事後、

人工知能は無慈悲に生命の選別をし、

その事は心的外傷として震災を生き残った人人の胸に

「残忍」としてずっと去来し続けることになるに違ひない。

 

所詮は何事も無力でしかなく、

その虚脱感に疲労困憊する罹災民は

その絶望的な状況が骨身に染みて、

しかし、人工知能ではなく、他者の慈悲を知る事となる。

 

神はさうして基督者におけるヨブのやうに人間に災厄を授け、

自然をして《世界》の破壊に立ち上がるのだ。

決してこれまで自然と世界が一致した事はなく、

《世界》とは現存在の論理で構築された夢物語の一種に過ぎぬのだ。

 

さて、自然はその破壊力を持て余し、

忍従をこれから人人に強ひる事になるが、

再び現存在は《世界》を仕切り直して《新世界》を構築しなければならぬのだ。

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