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憂鬱の先に

憂鬱の先に

 

この何とも度し難い憂鬱の時間を遣り過ごした先に

暗澹たる時間が待ってゐるといふことに対して、

おれはこれまで何度詠嘆しただらうかと問ふてみたところで、

この憂鬱の先には更なる憂鬱なる時間が待ってゐるだけなのだ。

それは正しく底無し沼に嵌まった如く

最早其処から脱することは自力では不可能なのだ。

唯、我が胸奥に去来する憂鬱よ。

お前はそれでもおれを丸呑みすることは躊躇ふ。

それは何故かと問ふたところで

お前はニヒルに苦笑ひするのみで、

ぷかっと煙草を吹かしながら、

黙したまま何にも喋っちゃくれない。

こんな夜更けに限って深深しく肺を吐き出すやうに咳き込む犬の不安に呼応するやうにして、

おれも一つ咳払ひしては、

この度し難い憂鬱に囲繞されたおれを吐き捨てる。

この夜更けに犬とこのおれ以外に咳(しはぶ)くのは何ものか。

そいつはおれを嗤ひ、さうして、おれをまたもや憂鬱へと誘ふのだ。

何をしておれがかうも憂鬱なるかは何時も解らず仕舞ひであったが、

しかし、おれはどうしやうもなく何時も憂鬱なのだ。

またもや犬が胸奥に異物があるが如くに深い深い咳をし、

その犬はもう死期が近いといふ合図を送りながら、

おれの憂鬱を祝福してゐるのだらう。

分け入っても分け入っても深い闇ばかりのその状況で、

おれは、しかし、その闇から抜け出さうとする愚行はもう已めたのだ。

といふのも、幾らじたばたしたところで、

おれから憂鬱なる気分がなくなる筈もなく、

このどうしやうもない憂鬱と、

深く深く尋常でない咳を咳き込む犬が暗示する未来は、

暗いものしかあり得ず、

それでも死こそがこの苦しみから脱する唯一の方法だとして、

それを坐して待つのも乙なもの。

深く深く咳き込む犬のその咳に乗って

生気はゆっくりとその犬から失はれるその時、

おれはどん底の憂鬱の中で、

己の存在のどうしやうもない薄っぺらさに愕然とし、

それでも、何時かは死なせてくれるその時が来るまで、

おれはこのどん底の憂鬱の中で達磨の如く、

坐して死を待つことしか出来ぬのか。

それでも何かを仮に悟れれば、

おれのどうしやうもない人生でもめっけものではないのか。

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