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曙光

...

曙光

 

光の国への誘惑は

...

死を意味するのか。

地平線からの曙光は

冷たい輝きをしてゐた。

 

年が明けるといふことに対して反射的に

一休宗純が正月に

――ご用心、ご用心。

といって街を練り歩いた髑髏を思ひ浮かべるおれは

死への直行がめでたきこととして刷り込まれてゐるのだ。

さうでないと平衡がとれない思考の持ち主として

既に偏執した存在様態をしたおれは、

それだけで危ふい。

 

曙光に死の匂ひしか嗅ぎ取れぬおれは、

やはり、間違ってゐるに違ひない。

が、しかし、それでいいとも思ってゐるのだ。

きらりと眩い曙光を浴びながら、

死を思ふおれは、

その寒寒とした曙光に憧(あくが)れる。

 

ざくりと霜柱を踏みしめながら、

それを次第に溶かして行く筈の曙光は、

しかし、おれの心は凍てつかせるのだ。

 

この寒寒とした光の中で、

おれは死へと止まらない歩を進めるのみ。

 

美しい女性の顔が去来しては

ひっひっひっ、とおれを嘲笑ふ。

 

ならばとおれはその美しい女性と熱い口吻をする。

 

そこにはさて、愛は転がってゐただらうか。

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