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深夜の彷徨

深夜の彷徨

 

今は亡きものの影絵を追ふやうにして

居ても立ってもゐられずに

おれは雨降る深夜に外出し、

何処へ行くなど宛などなく、

深夜の彷徨を始めたのであった。

それは、この午前二時過ぎ辺りに

魑魅魍魎共が彼方此方で跋扈してゐるのではないかといふ

わくわくと期待に満ちた彷徨で、

将又、亡きものの魂が彷徨してゐるのではないかといふ期待に胸膨らませ、

闇夜の中、目を凝らしながら、

ゆっくりと一歩一歩を踏み締めるやうに歩いてゐると

過去、現在、未来、つまり、去来(こらい)現(げん)はその秩序を失ってゐた。

即ち、時制の枠を取っ払ひ、過去、現在、未来が横一直線に並んで、

存在してゐるのであった。

すると、おれが愛し、今は亡きもの達は

皆、笑顔ではしゃいで立ち現はれ、

己が亡きものであることをそれらは忘れてゐるやうに

それはまるで映画の回想Scene(シーン)が観るものにとっては正しく現在になる如くに

生き生きと現はれたのであった。

嗚呼、懐かしいもの達よ、

お前達は今も息災であったか。

ふっ、異形のもの達を友にして

過去に、つまり、回想の中に閉ぢ込められることなく、

お前達は良い齢の取り方をしてゐるぢゃないか。

楽しさうで何よりだぜ。

――うん? 何処へ行くのかね。ああ、さうか。

おれはそれとは全く気付かずにゐたのであったが、

知らぬうちに墓場にゐて

独りぶつくさと独り言を言ってゐたのかもしれぬ。

其処に永眠してゐるもの達は

全てがおれに縁があるわけではないが、

しかし、ここでかうして会った以上、

それは多生の縁であり、

おれの友達になったのであらう。

墓場に永眠するもの達は

真夜中、人知れず起き上がり、

友が来るのを待ってゐて、

宴を催す楽しい一夜を毎日過ごしてゐるのだ。

――幽霊は歳を取らないぜ。

と誰かが言ってゐたが、

それは全く間違ってゐて、

幽霊も日々歳を取り、

幽霊がどうしても見えてしまふ友の来るのを待ち続けながら、

毎夜、墓場は祝祭で馬鹿騒ぎなのだ。

だって、さうだらう、

おれは真夜中の猥雑でありながら威厳のある墓場が大好きなのだから。

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