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湧出する観念に

湧出する観念に

 

止めどなく頭蓋内の闇、つまり、五蘊場に湧出する観念に翻弄されつつ、

身動きが取れなくなって

思考のみが右往左往するその哀れな存在は

仕方なく闇雲に観念を喰らふのだが、

観念の毒気に当てられ、意識を失ふ粗相をするのである。

その朦朧とした意識の中、

視界の中心にドデンと腰を据ゑる球体をした闇の塊は振動してゐて、

闇波を同心円状に発しながら、

かっとどでかい目を開け、

真っ黒き光彩の中の瞳孔は死人の如く開きっぱなしで、

それでゐて眼光のみは黒光りしながら此方を睨み付けてゐる。

一体これは何なのかと自問する間もなく、

眼前の真っ黒き目玉はルドンの絵の如く虚空を睨むやうな感じで

此方をずっと睨み続けるのだ。

闇波のどろりとした感触に辟易しながら、

何とか闇の目玉の向かうを見ようと苦心惨憺するのであるが、

闇の向かうはやはり闇で、

その闇を握り潰さうと手を伸ばしてみるのであるが、

肝心の手がないのである。

その間抜けぶりに不意に笑ひ声が漏れたのであるが、

時は既に遅きに失してゐて、

深い闇に飛び込むやうにして卒倒してしまったのだ。

暫くして、意識が甦生した後、

尚も観念が五蘊場で逆巻く中、

観念の餌とばかりに

闇に体躯を投げ出した。

さうすると一斉にその体躯に襲ひかかる不適な観念共は、

美味さうにその体躯を食ひ千切り、

骨までしゃぶりながら、

舌鼓を打って満足の態で食後の雑談に興じてゐたのである。

 

しかし、食ひ尽くされ抛り出された頭蓋骨の闇、つまり、五蘊場では

たった一つの観念がしくしくと泣きながら、

――俺は!

と、未来永劫、喚いてゐるのであった。

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