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それは避けやうもなく、

静かに忍び寄ってきて、

不図気付くとそれは既に手遅れの状態なのだ。

病とは大抵そんなもので、

気付いたならば既に手遅れの場合が多い、と慰めたところで、

気休めにもならず、唯唯、未練が残るものなのだ。

それで構はぬとは思ひつつも、

必ずやってくる別れの時のためには

今は、涙を流すことは已めておかう。

 

愛するものとの別れとは、

いつも残酷なものであるが、

残酷故に、此の世は此の世として成り立つとも言へるのかもしれぬ。

さて、死するまでの残された時間、

いつものやうに普通の日常を過ごすとしよう。

それがせめてもの慰めであり、抵抗でもあるのだ。

有り体の普通の生活こそが最後の晩餐に最も相応しいのだ。

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