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苦悶する吾はその事に快楽を感じてゐる

苦悶する吾はその事に快楽を感じてゐる

 

例へば歯痛が快楽と言い放ったドストエフスキイのやうに

苦悶する吾はその事に快楽を感じてゐるものなのだ。

苦悶がそもそも吾の有様に対する憤懣に過ぎぬとして、

――はっはっはっ。

と、それを嗤ふ吾に対して

空が堕ちてくると言った杞憂に等しく吾は端から吾の苦悶すると言ふ事を信じてをらず、

それでゐて途轍もなく深刻な顔つきをして、

鏡を覗き込んでは吾の其の顔に対して

――ぺっ。

と、唾を吐き、

苦悶そのものを馬鹿にし、

さうして吾は悶悶とした吾に対して溜飲を下げるのだ。

そんなやるせない吾は何を思ったのか時空間を喰らひ出し、

ぶくぶくと肥っては

過食症よろしく絶えず吐瀉しては苦悶を味はふ愚行を繰り返すのだ。

その間も呼吸する吾に対して怒りすら覚える吾は、

呼吸を止めようとあくせくするのであるが、

生きてゐる以上、それは全く不可能であり、

呼吸をする事で生き永らへる吾に対して尚更苦悶する吾は、

呼吸する吾に対して異議を申し立てるのであるが、

それに耳を貸す神さへをらず、

独り孤独を砂礫の如くに噛み締めながら、

苦悶する吾に更に惑溺しながら、

苦悶を既に快楽として味はふ吾は、

何を思ったのか、天に唾するやうに

我が手首にがぶりと噛み付いては、

その痛みを噛み締めながら

――へっへっへっ。

と嗤ひながらも噛み切った手首からどくどくと流れ出す血を見つめながら、

やはり、苦悶は快楽に違ひないと納得するのであった。

よく聞き給へ。

苦悶できると言ふ吾は既に吾に酔ってゐる吾であり、

その吾が為せる業など高が知れてゐて、

そんな吾が苦悶する内容など芥子粒にも劣るものに違ひなく

其処に肉体を伴った苦悶であってさへ、

それは快楽と紙一重に過ぎず、

しかしながら、苦悶する吾を鼻でせせら笑う事は

尚更吾を土壺に嵌めるだけであり、

そんな快楽でしかない苦悶から抜け出す術は

苦悶する事に酔ってゐる吾にある筈もなく

吾は只管に苦悶を喰らひながら、

絶えず吾の内部に鳴り響く不協和音の気味悪さを堪へ忍ぶのだ。

さうして何とも心地悪い吾に対して吾はそもそも吾が心地よい時があるのかとせせら笑い

そんな苦悶する吾に対して追ひ打ちかけるやうに吾は吾に対して鞭打つのだ。

さうする事でやうやっと吾は此の世で一息つけ、

世界の中の吾と言ふ逃げ場のない吾に対して踏ん切りがつき、

さうして吾は苦悶する吾に折り合ひをつけて切なくも生き延びるのだ。

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