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触感

触感

 

この触感が俺に不快を起こさせ、

俺が此の世に存在してゐることを実感させるのだ。

その触感は何かと言へば、

それは肉を噛む時の触感なのだ。

 

蛸を噛む時の不快が吾を吾足らしめてゐると言ふものが嘗てゐたが、

俺は肉を噛む時の触感が不快でならないのだ。

それは何やら吾そのものを噛んでゐるやうでゐて、

つまり、それが不快の正体には違ひないのであるが、

それ以上に食らふと言ふ事の残酷さにそもそも堪へられぬ柔な俺は、

心の何処かで俺が此の世に存在する事を許してしまふ間隙を突いて

俺は憎らめっ子世に憚るを地で行くやうにして

ものを食らって生き永らへる。

そして、その事態に俺は唯、面食らってゐるに過ぎぬのであるが、

俺は俺と此の世で叫べるに値する吾であるならば、

何ものに対しても食らふ事に罪悪感など抱く筋合ひではないのであるが、

俺に食われたものは、さて、此の世でその本望を達せたのかと言へば

それは食はれゆくものは、

その本望の途中で殺されてしまひ、

俺に食はれるといふ不条理にあるのは逃れられぬのだ。

それに俺は一時も堪へられぬと知りながらも、

泣きながら俺は肉を食らふのだ。

 

泣いた事で何かが変はる事なぞありもしないが、

それでもこれが泣かずにゐられやうか。

 

肉を食らふ時の触感は

最早変はる筈もなく、

俺は唯唯、生き永らへるためにのみに

肉をゴムを噛むかのやうに食らふのだ。

 

さうまでして生きるに値するのかどうかなど

俺の知った事ではないのであるが、

しかし、俺は食事の度毎に虚しい自身を感じずにはゐられぬのだ。

 

この堂堂巡りの虚しさは

尽きる事はないのであるが、

それでも俺は食らう事を絶えず問はずにはゐられぬのだ。

 

さて、この俺は生きるに値するのであらうか。

これは愚問に過ぎぬのであるが、

さう問はずにはゐられぬ俺は、

かうして今日も生きてしまふのだった。

 

さあ、俺の臆病を、小心者ぶりを嗤ふがいい。

さうする事でのみ俺は何とか生きられると言ふものなのだ。

 

 

十三夜に虚しき影を引き連れて漫ろ歩く

 

咳一ついつまでも残るその余韻このがらんどうに吾独りなり

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