水底で揺るてゐるやうな

 

ぐにゃりと奇妙に歪んだ太陽を仰向けで眺めながら、

その柔らかい陽射しに揺らめく炎を眺めてゐるやうな

何となく慈しみに満ちた雰囲気に抱かれたおれは、

溺死した死体に過ぎぬ。

然し乍ら、閉ぢられることなく見開かれたままの眼は、

ぼんやりと水底からの景色を眺めてゐて、

意識は、いや、念は、おれのところにおれとして留まってゐたのか、

念のみは溺死したおれの骸に宿ってゐた。

星が最期を迎へる時に、

大爆発するやうに

念が大爆発を迎へる束の間の静けさに、

おれはあったのだらう。

おれが沈んでゐた水底はとても閑かで、

水流の揺れに従っておれはぶら~ん、ぶら~ん、と揺れてゐたが、

おれはそれがとても気持ちよく、

念はそれにとても気をよくして笑ってゐた。

さあ、爆発の時だ。

それは凄まじいもので

一瞬にして《一》が《無限》へと変化する

その威力はおれの気を一時遠くにしたが、

直ぐにおれはおれへと収束し、また、発散するのだ。

おれはその両様を辛うじておれ一点で成り立たせ、

おれは無限に広がったおれを何となく感じ

念はそれでも消えることなく、

おれの亡骸をある宿主として

おれは一瞬にして此の宇宙全体を眼下に眺めては、

おれの眼から見える水底からの風景をも眺め、

もう苦悶は何処かへ霧散したのである。

おれの念は時折、誰かと共振し、

おれはその誰かと束の間、話をしては、

他の誰かとまた共振するといふことを繰り返しては、

無限といふものの不思議を味はってゐた。

おれはそれが白昼夢に過ぎぬこととは知りつつも、

おれは《一》と《無限》の収束と発散の両様が、

同時に成り立つ奇妙な世界が存在することを

その時初めて知ったのである。