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何ものも素面であると言ふ此の世界は、
何ものも赤裸裸にその存在を表出してゐるのといふのか。
それともお互ひに対して畏怖を以て赤裸裸なることを強要されてゐるのといふのか。


何ものも諸行無常の中にぶち込まれ、
赤裸裸であることでやうやっと正気を保ってゐる存在どもは、
赤裸裸なることに残虐性を見、
さうして此の世の道理に従属させられ、
赤裸裸なることを何ものも強要されてゐると憎悪をもって世界を認識してゐる。


をかしなことに存在は既に世界に蹂躙されてゐて、
尚更に存在は此の世界に対する憎悪を益して、
それはそのままに憤怒に変はり、
何時世界に対して復習するかと、
其の算段のみを生き甲斐として存続する存在を、
世界は増殖してしまってゐるに違ひないのだ。


世界は終ぞ内部崩壊を始め、
其処に存在する者どもは、


――わっはっはっ。


と、哄笑の大合唱を轟かせながら散華する。
さうして吾をも崩壊する地獄絵図に身を投ずる覚悟のみは既にできてゐるといふものだ。
どの道世界が崩壊すれば、存在どもは一時も存続できる筈もなく、
世界諸とも吾も入滅する故に道理は道理であるのであり、
それ故に、何ものも赤裸裸にあるのは、
此の世界に入滅する覚悟の程を見せるために、
素面でその存在を赤裸裸に曝すのだ。


さうまでせずば、存在する値打ちがないと看做すのが此の世の道理なのだ。


哀しい哉、存在は残虐な世界なくしては一時も存続できぬものなのだ。
残虐な道理。
これこそ、もしかしたならば、存在どもが手に入れたいもので、
それ故に存在どもは世界に嫉妬してゐるのだ。


赤裸裸にあれとは、誰が言い出したかは解らぬが、
存在どもが勝手に世界に対して恐怖を感じ、
それを鎮めるためにのみ存在どもは赤裸裸にあるに過ぎぬ。

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