何万本の蠟燭の炎を刈るやうにして
死神は大鎌を振り回しては時時刻刻と魂を刈り、
毎日死屍累累の山を堆く積み上げながら
大笑ひが止まらない。
已む無く吾が肉体から切り離された霊体たちは
己の居所たる吾が肉体を探すのであるが、
それを見つけたところで、
最早棺の中で永眠してゐるか
墓掘り人に掘られた墓穴に吾が肉体が納められし
棺が埋められるところに違ひない。
さうして彷徨を始めた肉体から離された魂たちは
何時しか寄り集まり、
地上を大行進して行く。
死者の霊たち、若しくは魂たちは
何時までも何時までも地上を彷徨ひ歩くしかない。
それは死神が魂を刈るのに忙しく、
死者の霊を黄泉の国へと案内する暇がないからだ。
彷徨へる魂たちは皆一様にしくしくと泣いてをり、
死者の頬を伝はって流れ落ちた涙は、
悪疫の養分として此の世に拡散して行き、
死者が増えるほどに悪疫の猛威は止まらない。
さうして死神がまた、大鎌を一振りしては何万もの命が消し去られ、刈られて行く。


嗚呼、汝は見しか、
死神が大鎌を一振りし時に
閃光が走るのを。
其は正まさしく魂の消ゆる
最期の瞬間の断末魔が一際煌めいた後、
此の世から揺らめき立ち上り、
そして、破裂して爆風を吹かせし
厖大なEnergyエナジーの放出現象の痕跡なりし。
その後、彷徨へし魂たちは行き場を失ひ
犇めき合ひながら、
互ひに顔を見合はせては
涙を拭ひ払ふが、
それが悪疫を活気づけ、
更に死が死を招きし。


嗚呼、汝が見しあの閃光は
稲妻である筈はなく、
死に行く者たちの死の爆風の
厖大なEnergyの放出なりし。
さうして魂たちは此の世を未来永劫彷徨ひ歩く。