目の前に死がぶら下がったことで、
巷間はざわめきその不安から
集団ヒステリーとなって
批判の矛先を見つけては
執拗に攻撃を加へ
一時の不安から目を逸らしてみるのであるが、
死はそんなことは一笑に付し、
問答無用に万人に襲ひかかる。


死神は白い駿馬を駆って
天駆け巡り、
次次と人間の首を刎ね
地上は恐怖に戦き、
死神は種蒔くやうに
悪疫のVirusヴィールスをまき散らしながら、
更なる死を呼び寄せる。


恐怖に戦いた民衆の集団ヒステリーは更に昂じ、
魔女狩りの如き無辜の市民の私刑が始まり、
惨たらしい惨殺が繰り返される。
死が死を呼び、恐怖が逆巻くこの中で、
吾は只管冷徹に状況を見極め、
死が隣に座らうが
素知らぬ顔をして
死の頭を撫でさすり、
愛撫さへ厭わぬ。
それに業を煮やした死神は
大鎌を吾に振り下ろすが、
吾はひょいっとそれから身を躱し、
死神を嘲笑ふのだ。


集団ヒステリーの逆巻く中で尚、
吾は死を労りながら、
――ご苦労さん。
と、激励するのだ。
日常に死がないことはとっても不自然なことで、
日常に死が溢れ出した現代こそ
至極自然なに日常の姿なのだ。


――死よ、更なる恐怖を振りまいて現代人の死を忌避する錯覚から目を覚まさせよ。

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