黙考のしじま

思索に耽る苦行の軌跡

惚けてしまった哀しみの

惚けてしまった哀しみの   惚けてしまった哀しみの 茶色い色はすっかり褪せて、 柿渋のやうな衣魚が残りました。   ――どうして私は と思ふ以前にすっかり草臥れ果ててゐたのです。 それでもやっぱり哀しいと言ふ感…
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2016年6月13日 0

哀しいと言った奴が

哀しいと言った奴が   それは何とも不思議な事であった。 確かに哀しいと言った奴がゐて 俺はそちらに面を向けると そいつは既に姿を消してゐた。 ところが、哀しいと言った奴は 姿は隠したが、絶えず声を発してゐて、 俺を弾劾…
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2016年6月12日 0

薄明の中の闇

薄明の中の闇   其処に開けた闇へ至る道に 立てる脚を持ってゐるならば、 しっかと両の脚で立ち給へ。   もしそれも出来ないといふのであれば、 匍匐してでも薄明の中でその重たき体躯を引き摺ることだ。 さうして漸…
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2016年6月12日 0

撲殺 二

撲殺 二   更に一つのものが有無を言はせずに撲殺されたのだった。 なにゆゑにそれは撲殺されねばならなかったのか、 何ものもその理由を知らず、 さうして、それもまた、撲殺されたのだった。   それは、既に人たる…
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2016年6月12日 0

揺れちゃった

揺れちゃった   浅川マキの歌が脳裡に流れる中、 仄かに揺らぐ吾の在所に 吾既に蛻(もぬけ)の殻   「揺れちゃった」といふ歌詞に 吾もまた揺れちゃったのだ。 陽炎が揺らぐやうに 吾から飛翔する吾の「本質」は …
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2016年6月12日 0

嗤ふ死神

そいつは不意に現はれて生を根こそぎ攫ってゆく。 その現実を前にして現存在は為す術もなく ただ、死神の思うがのままに、 不意に生を断念させられし。   恨めしき死者たちは此の世を彷徨ひ、 生から幽体離脱した死の状…
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2016年6月12日 0

抽象的な無限

抽象的な無限   それは俺の手には余りあるものと言はねばならぬ。 しかし、闇が此の世に存在する限り そいつは俺を其処へと誘ふのだ。 そいつの名は無限と言ふのだが、 それは俺にとって余りに抽象的なものなのであった。 &nb…
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2016年6月12日 0

進退谷まれり

進退谷まれり   何を思ったのか、彼は不意に哄笑したのである。そのひん曲がりながらも高らかな嗤ひ声には彼の置かれた状況が象徴されてゐて、と、突然彼は涙をその瞳に浮かべたのである。何が哀しかったのだらぅか。 ――そんな事も…
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2016年6月12日 0

口惜しきは

口惜しきは   口惜しきはお前の生に対するその姿勢なのだ。 お前は生に対してかくの如く断言しなければならぬ。 「死んだやうに生き永へえるには、《吾》は《吾》の無間地獄から抜け出すべく、《吾》は須からく覚悟を持つ事。」 そ…
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2016年6月12日 0

流れる雲に

流れる雲に   《吾》の頭上を流れゆく雲は 絶えず変容して已まぬのであるが、 その中で《吾》は、 流れる雲の如くに絶えず変容してゐると断言できるのか?   仮に《吾》が変容する事を一度已めてしまったならば、 果…
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2016年6月12日 0
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